■造りについて

 

 麹

日本酒の造りの特徴の一つは、黄麹菌というカビを利用して米のデンプンを酵母が食べられるブドウ糖に分解することです。この麹カビの胞子を蒸した米に捲き、2昼夜かけて繁殖させたものが麹です。昔から日本酒造りでは「一麹、二酒母(もと)、三造り」と言われるほど、麹は日本酒の酒質の中で一番影響を与える大切なものです。

 

 掛米

麹に使用しない蒸しただけの米のこと。

 

 酒母(しゅぼ・もと)

日本酒を仕込む前に、酵母を大量に培養するために造られるものです。麹と蒸し米、水、酵母、それに乳酸を混ぜて造ります。乳酸を混ぜるのは、雑菌などが繁殖するのを防ぐために、酒母を酸性に保たせるためです。ここで、元気のいい酵母を多量に培養します。

 

 生もと

室町時代から受け継がれてきたといわれる、伝統的な酒母の製法。反切り桶と言われる平べったい桶に、麹、蒸し米、水を加えて、櫂ですり潰す「山卸し(やまおろし)」という作業を行い、糖分の生成を促しながら乳酸菌を繁殖させ、乳酸をつくり、酵母を培養します。複雑で熟練の技が必要とされる技法で、濃醇でコシの強い酒になります。

 

 山廃もと

生もとの「山卸し」を省略したもので、「山卸し廃止もと」から「山廃もと」と呼ばれるようになりました。生もとと同様、自然の乳酸の力で雑菌から酒母を守り、酵母を育てます。酒の味も濃醇型になります。

 

 三段仕込み

日本酒の仕込みは、麹・掛米・水を3回に分けて仕込む三段仕込みが基本です。酒母を一度に大量の麹・掛米・水の中に入れてしまうと、酒母の酸性が極端に薄まってしまい、雑菌に侵される恐れがあるからです。そのため、酒母に対して、3回に分けて、麹・掛米・水を徐々に増やしていきます。

 

 醪(もろみ)

三段仕込みが終わった段階の状態のものを醪と言います。ここで、発酵が行われます。醪の管理は温度管理につきるといえるほど、品温の管理は酒質にとって大切なものになってきます。「一麹、二酒母、三造り」の「造り」の部分がここです。

 

 上槽(じょうそう)

発酵が終了した醪は、圧搾機で搾られて、澄んだお酒と酒粕に分けられます。その搾る作業のことを上槽といいます。効率の良い上槽ができる大型機械の「連続上槽機」や、醪を詰めた酒袋を並べて積み重ね、上部から圧力を加えて搾る「槽(ふね)」を用います。他に、鑑評会出品用など最高級の大吟醸などは目の粗い袋に醪を入れて吊るし、自然圧で搾りあがったものだけを取る「袋取り」などの方法もあります。

 

 滓引き

上槽したお酒は、細かい固形物が浮遊して白く濁っていますが、これをタンク内で数日間放置すると、白濁した部分が底に沈んで澄んだ部分と分かれてきます。この沈殿物を取り除く作業を滓引きといいます。

 

 濾過

滓引きしたお酒は、まだ微細な粒子が浮遊しているので、濾過機をつかい取り除きます。この際、活性炭を使用するのが一般的で、脱色、香味の調整などを行います。最近では、酒本来の味を楽しむため、あえて濾過をしないで出荷されるお酒も多くなってます。

 

 火入れ

上槽が終わったお酒の中でも、まだ酵母は生きています。この酵母は、せっかく味が整ったお酒の品質を更に変化させてしまう恐れがあります。そこで、加熱処理を行い、酵母を破壊することと、火落ち(雑菌)防止を行います。このことを火入れといいます。約60~65度まで加熱処理をします。 また、出荷する時に、タンクから瓶に詰める際に外気に触れるため、ここでも殺菌のために火入れを行います。

 

 貯蔵

火入れ後、出荷までお酒はタンクに保存されます。この期間に香味の熟成が起こり、新酒の荒々しさがまるく穏やかになります。熟成期間はその酒質、用途によって1ヶ月から数年とさまざまです。