●豆知識1.  歴史上、はじめてのお酒

縄文時代の井戸尻(いどじり)遺跡(長野県)から、底に山ブドウの種がついた土器が発見されています。この土器に山ブドウを仕込み、果実酒を造ったのではないかと推測され、これが日本の最古のお酒と考えられています。


●豆知識2.  米を使ったはじめてのお酒

弥生時代、水稲農耕が定着した頃に、米を使ったお酒が造られたと考えられています。この時代には、加熱した穀物を口で良く噛んで、「ペッ!」っと、甕の中に吐き捨てました。すると、唾液に含まれる酵素で穀物のデンプンが糖化し、野生酵母で発酵したものが出来上がります。これを「口噛み」といいます。この醪によく似た状態のものが、初めての米で造ったお酒と考えられています。ちなみに、酒造りを「醸す」と言いますが、「噛む」が語源ではないかと言われています。この「口噛み」の作業は巫女に限られていて、酒造りの原点は女性だということが伺えます。


●豆知識3.  お坊さんもお酒好き?

平安時代に編纂された「延喜式」には、米、麹、水で酒を仕込む方法や、お燗に関する記載があります。この時代のお酒は、祭事(=政治)に関するハレの日のものとして欠かすことのできないもので、宗教儀礼的要素が強く、庶民の口に入ることは滅多にありませんでした。そして、この時代には、寺院で醸造された「僧坊酒」が高い評価を受けました。高野山の「天野酒(あまのさけ)」や、平城の「菩提泉(ぼだいせん)」が特に有名です。このあたりは、中世ヨーロッパの教会で、リキュールなどが造られたのと似ていますね。


●豆知識4.  日本酒は、酒造りで世界の最先端だった

1876年、ヨーロッパでルイ・パスツールという人物により低温殺菌法が研究され、ワイン醸造における失敗の防止と安定性を高めることに成功しています。しかし、この殺菌法、日本では「火入れ」と呼ばれ、なんと室町時代の書物「多聞院日記」の中に記述があるのです。室町時代といえば、1500年代。つまり、日本酒の世界では、ワインよりも先駆けて最先端の技術が導入されていたのです。この書物の中には「三段仕込み」に関する記述もあり、この頃に現在のお酒造りの原型が整ったとされています。


●豆知識5.  酒造りの珍しい技術「並行複発酵」!

ワインの原料はブドウ。ブドウはその中に糖分を含んでいます。アルコールを生成するためには、糖を分解してアルコールを作りますから、ブドウはお酒づくりに適した果物だといえます。しかし、日本酒の場合、原料はお米。お米には糖は含まれておらず、デンプンが含まれています。まずは、このデンプンを糖に変えるため、「麹」が働きます。そして、この糖をアルコールに変えるため「酵母」が働きます。日本酒の仕込みのタンクの中では、この作業が“並行”して行われているのです。これは、「並行複発酵」と呼ばれ、日本の酒造りに見られる特徴的な技術です。(ワインの場合は、単発酵といいます。)この技術は、同じ国酒である焼酎でも活用されています。


●豆知識6.  日本酒の保存方法

低温で温度変化をできるだけ少なくするようにしましょう。お酒は光にも弱いですから、蛍光灯などの有紫外線光源は使用せず、白熱球を使用することが理想です。ご自宅なら、新聞紙に包んで冷蔵庫で保存することをおすすめします。一升瓶などが入る冷蔵庫があるご家庭は少ないでしょうから、その際は、四合瓶に2本で分けるなどすると、保存しやすくなります。また、その際にはワインのように横に寝かせてはいけません。王冠やキャップの錆びの原因となるので気をつけましょう。


●豆知識7.  常温で保存してはいけないの?

火入れをしっかりとしているお酒なら、常温で保存しても、すぐに味が損なわれるということはありません。逆に、中には、「常温の方が味乗りがいい」と言って、冷蔵庫に入れないようにする人もいるぐらいです。しかし、生酒など、火入れをしていないお酒は、瓶の中で酵素が生きていますから、常温で保存すると酵素の働きが活発化し、酒質がすぐに悪化してしまいますので、必ず冷蔵保存するようにしてください。